第3回目 ウニの受精実験

3回目のウニの受精実験を行いました

当社は、東京都板橋区で“完全陸上養殖”によるウニの生産に挑戦しています。目指すのは、ここ板橋で生まれ育ったウニの出荷です。

今回は、その実現に向けた3回目の受精実験を行いました。

これまでの歩み

  • 第1回:輸送中にほとんどのウニが死着してしまい、産卵に至らず。
  • 第2回:研究者の指導のもと実施するも、幼生の段階まで達せず。
  • そして今回(第3回):すべての工程を自分自身で準備・実施しました。

前回の経験からある程度の流れを掴んでおり、今回はどこまで進めるのか、期待が高まります。

実験の手順

1.ウニの口器(アリストテレスのランタン)を取り出す

ウニの裏側、柔らかい部分にハサミを入れ、ピンセットで口器を丁寧に抜きます。

2.塩化カリウム水溶液で産卵・放精を促す

0.5mol/Lの塩化カリウム(KCl)水溶液を用意し、ウニに滴下します。

  • 作り方:
    モル濃度(mol/L)× 体積(L)× モル質量(g/mol)
    = 0.5 × 0.050 × 74.6 = 1.865g → 1.865gのKClを50mLの水に溶かすと、目的の濃度になります。
  • オス:放精
  • メス:産卵
3.卵を受精させ、細胞分裂を観察

受精に成功すると、卵に受精膜ができ、約1時間後に最初の細胞分裂が始まります。

4.一晩おいて観察へ

ビンに入れて一晩置き、翌朝の変化を確認します。

5.翌朝 プリズム幼生

無事、プリズム幼生まで成長していました!
この段階の幼生は活発に泳ぎ、藻類を捕食しながら成長していきます。

今後は「プルテウス幼生」へと進み、やがて稚ウニになります。

今回の課題と次の目標

残念ながら、現在はプリズム幼生の餌となる藻類「キートセラス」が手元にないため、ここからの成長は難しいと思われます。

とはいえ、試しにカメの池から汲んできた緑色の水を加えてみました。
もしこれでプルテウス幼生に進化すれば、ちょっとした発見かも…?(笑)

一歩一歩、進んでいきます。