5回目の受精実験にて、プルテウス幼生から稚ウニへの変態に成功しました。

8/30 人工授精

採卵方法の改善

1~3回目の受精実験では、ウニの口器を引き抜いて塩化カリウムを滴下。

採卵はできるものの、採卵後のウニは必ず死んでしまうという問題がありました。

海が近くすぐにウニの調達ができる環境ならそれでもよいかもしれませんが、ここは東京板橋。ウニの調達は簡単ではありません。
その為、殺さずに採卵する方法を探したところ、塩化カリウム水溶液を注射することにより採卵する方法を発見。

4回目以降、注射による採卵に切り替えました。
注射でも産卵し、その後もほとんどのウニが生存しています。

8/30~9/24 幼生の育成

幼生は浮遊させる必要があるとのことで、育成方法も改良。
エアレーションから、プロペラに変更しました。
従来より早い段階で8ワンプルテウスに成長しました。

改良版幼生育成装置

プリズム 4腕プルテウス

8腕プルテウス

9/24 稚ウニへの変態

変態誘導へプラ片を投入

変態誘導のため、付着藻類が必要とのこと。

今回は、キートセラスを培養していたペットボトルに緑色の藻類が付着していたことから、これを小さく切って投入しました。

変態誘導に効果があるかわかりませんでしたが、ひとまず手元にあるもので他に代用できそうなものがありませんでした。

発生24日目 変態成功

浮遊する幼生が観察できなくなり、全滅したかと思いましがが、水替えする際に底面にへばりついているゴミのようなものを発見。

丁寧にスライドガラス状に移して観察したところ、稚ウニとなっていました。

大きさは1mmもなさそうなサイズ。

非常に小さいので目視だとこんなんでした。

初の板橋生まれのウニです!

稚ウニの育成

稚ウニの餌をどうするか問題

稚ウニが非常に小さく、目視だと見失うサイズのため、何を餌とし、どのように給餌を行うかが次の課題となります。

今回、海に行ってサンゴモを採取してきました。

ひとまずこれで試してみますが、都度海に取りに行くのは非常に困難なので、代用できるような良い餌を発見する必要があります。

今後の研究テーマの一つとなります。

今後のはなし

課題

①稚ウニへの変態の数(率)の向上

今回、稚ウニは2匹しか発見できませんでした。
(もっといたかもしれませんが、発見できたのは2匹だけ)

商売としては全然成り立たないので、一度の産卵で100匹とか200匹とかの稚ウニにしたい。

とはいえ、まだ初めて変態に成功した段階ですので
、さまざまな改良をしてみて、次の実験では10匹の稚ウニの誕生を目指します。

②稚ウニの成長

今回初めて稚ウニになりましたが、目視できるサイズに成長できるかはわかりません。
どんな餌を上げて、どのように管理すれば大きくなるのかは、今後も様々な試行錯誤が必要になろうかと思います。

板橋生まれのウニを出荷する日まで、頑張ります!